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理由付記の不備で課税処分が取り消しに。

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理由附記という論点があります。

 

理由附記とは、税務署が課税処分をする際に通知書に書く「理由」をいいます。

 

税制改正により平成25年1月1日からすべての課税処分に理由附記が実施されることになりました。

 

それまでは、例外的に法人税、所得税の青色申告者に対する課税処分については理由附記が行われていましたが、原則は理由が記載されていませんでした。

 

つまり、税務署が行う課税処分について、納税者は具体的な理由がわからなかったのです。

 

理由附記は、税務署が行うものであり、また、相続税や法人税、所得税といった「実体法」と異なり、「手続法」と呼ばれる分野で地味な論点ですが、実は強力な規定なのです。

なぜなら、理由附記が不備であると何億円課税漏れであっても課税処分が取消しとなってしまうからです。

 

理由附記で重要な論点は、どこまでの理由を求めるか、「理由附記の程度」の問題です。

記載理由は、「所得の計算誤り」「預金の計上漏れ」といったものだけでよいでしょうか、それとも、課税の根拠条文、根拠資料の明示、課税庁の判断過程まで書く必要があるでしょうか。

法律に細かい規定はありません。

 

判例・学説では、更正の理由として、更正の原因となる事実、それへの法の適用、結論の記載が必要とされています。
理由附記の趣旨からすれば、処分を受けた側が、どのような事実関係に基づいて、どのような法規を適用し、なぜ課税処分がなされたのかがわかるものでなければなりません。

 

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